父から譲り受けるもの 始





「あぁ〜いい湯じゃのぅ・・・」

曹操は一人広い湯につかっていた。

ほどよい熱さになっている湯は少しずつ身体の奥深くへと浸透していく。

そこへ、ガラッと戸が勢いよく開いた。

「!!」

入ってきたのは曹操の息子の曹丕だった。

曹丕にしてみれば、人がいない時間を見計らったのだが、

父上である曹操がいるとは思いもよらなかった。

「子桓、こっちこい」

曹操が息子の姿をみて、手招きをしている。

曹丕は戻ることも出来ずに、そのまま進むしかなかった。

曹丕は父である曹操が苦手だった。

曹操もまた、息子である曹丕が苦手だった。

それは二人が似ているからなのか、

互いの考えていることがわかってしまうからなのか、

二人にしかわからないことだが、

けっして嫌いではなかった。

苦手だったのだ。

曹丕は無意識に父の姿を追いつつも、

父との会話が比例して減っていく。

父が弟の植や沖を可愛がっていたからだ。

自分には見向きもしない。

愛情など自分には向けてくれなかったのだ。

幼かったころから、曹丕はそう思っていた。

世継ぎも弟に、と決めていたのかもしれない。

曹丕はそんな危惧を抱えながら、ただ一身に勉強をした。

そうすれば、父に認めてもらえるかもしれないと思ったから。

父を求めながらも、素直に表現できなかった幼少時代。

その微々たる溝が少しづつ大人になるにつれ、大きくなっていった。

「久しぶりか。お前とこうして風呂に入るのは・・・」

曹操は隣に息子の姿を確認するとつぶやいた。

曹丕は無言のまま、その曹操のつぶやきを聞いていた。

「お前も大きくなったのだな、子桓。」

ふと、曹操の顔が曹丕を射抜いた。

父の顔。

幼い頃に見て、憧れ、避けていた父の顔だった。

こんなにもまともに顔を見ることは久しくなかったのもあって、

曹丕は思わず、見とれてしまった。

そんな曹丕に曹操はクスッと笑みをこぼした。

息子と風呂に入っているだけでうれしい。

そんな気がしてきた。

「父よ、私は先に失礼します」

曹丕は入ったばかりというのに、ザバァーと音を立てて、立ち上がる。

あまりにも曹操との会話が弾まず、気まずくなったからである。

「待て、子桓」

それを曹操は曹丕の腕をつかんでは引っ張った。

突然のことで曹丕の身体は曹操の腕に抱きこまれる形になった。

「!」

曹操は怒鳴る曹丕を湯の中へ思いっきり沈めた。

そのわけのわからない恐怖は一瞬だった。

そのあとにおとづれたのは生暖かい感触が唇に触れたことだった。

それはお湯の温かさだったのかもしれない。

曹丕は目を閉じている湯の中で、父、曹操の温もりを感じた。

「何をするっ!」

湯から顔を出した曹丕に曹操は間を置かずに再び唇を重ねる。

執拗に、激しく、力強く。

永遠とも感じる、曹操から息子へのくちづけ。

ようやく、唇を開放された時、曹丕は息苦しさでのどがつまっていた。

「どうだ、子桓?気持ちよかったか」

曹操の言葉に曹丕はキッと曹操をにらんだ。

しかし、それも身体の中を駆け巡る刺激によってかき乱された。

「子桓、お前はわしにこんなことをされて感じているな」

曹操は大きくそり立つ曹丕を指と舌で大胆にも愛撫しはじめた。

「くぅっ・・・父・・・」

なんともいえない刺激に曹丕の思考は閉ざされていく。

蒸気の立つ広い風呂に静かに曹丕の艶のある声が反響する。

曹丕はその自分の声で恥ずかしくなった。

温まった体が今度は羞恥で赤く染まり、曹丕の思考が一瞬だけよみがえった。

それでも。

一度火のついた欲は止められず、曹操の手引きで曹丕はそれを解放した。


風呂の縁で曹丕は大きく息を吐いた。

上半身は湯から投げ出し、放心していた。

「子桓、まだ終わりじゃないぞ」

ぐったりとしている曹丕を曹操は抱き起こし、

ゆっくりと秘所へと大きくなった自分を挿入した。

突然の刺激と不快感に曹丕は顔をゆがめ、曹操の背中に爪あとをつくった。

「子桓、世継ぎはお前ぞ・・・この曹孟徳からは逃れられん・・・」

曹操は曹丕を抱きしめ、苦痛にゆがむ顔に唇を落とした。

少しづつ、苦痛が快楽に変わり始めると、一層曹操は激しく動き、

二人の交わりも極限まで達しようとしていた。

すでにそこが風呂場ということさえ忘れて、悦に酔いしれていた。


しばらくして。

冷静を取り戻した曹丕は不機嫌だった。

「父よ、これは一体なんのまねか?」

結局最後までヤッてしまったのだが、曹操の意図がつかめずにいた。

「気持ちよかったじゃろ」

反省もなく曹操はそういった。

ボコッ

曹丕の一撃が曹操の脳天にヒットした。


そんな二人を恨めしそうに見つめる二人がいた。

曹丕の後から風呂に入ろうとやってきた司馬懿と張コウであったが、

戻るに戻れず、裸のまま一部始終を見届けていた。

「あの、司馬懿殿・・・私たちはどうしたらよろしいのでしょう?」

「私に聞くでないっ!」

二人はそのあとそそくさと何事もなかったように部屋に戻ったという。



「子桓、天下をわしから盗め。そして・・・わし以上に・・・」

曹操はすっかり冷えた体を引きずって、曹丕とともに風呂場を後にした。

その日、隅々まで洗わされた風呂場は翌日まで使えなかった。








おわり




ほへ。友が、曹操×曹丕が見たいと言った。
微妙ではありますが、初です。
それに無双曹丕じゃないよ、これ。無双曹丕様って
言葉とか難しくないっすか?
だって「父よ」だよ。普通の会話に「父よ」なんて
いれずらいよ(泣)
何だか、山なし、オチなし、意味なしだな。これ。
やっぱり司馬懿がいいな。
なんだかんだで司馬懿が出てるし。
久しぶりにや○い書いたので変だった。
最近甘系だったしね。
結局曹操は一体何がしたかった?
と、いうことで続編あります(汗)