南蛮の平和な日常





「ちょっとアンタ。それあたしのだよっ!」

祝融は隣で豪快に食べ物を口にする夫、猛獲が手にした骨付きの肉の塊をみて怒鳴った。

別に祝融の分ではなかったが、目をつけていたモノ。

それが猛獲が手をつけたので、ついそういってしまった。

「いいじゃねーか、まだここに一杯あるだろう。かあちゃん?」

確かにテーブルの上には同じような食べ物がゴロゴロとある。

しかし・・・わがままだと思うが、やはり、目をつけたモノを食べたい。

「あたしはそれが食べたいんだよ」

「口つけちまったぞ・・・」

猛獲はそういいつつも、口を止めることなく、結局全部頬張ってしまった。

「・・・あ・・・ん・・・た〜!!」

ふるふると肩を震えさせた祝融は猛獲の顔をすごい形相でにらみつけ、

その場に思いっきり立ち上がった。

「あんた!いつもいつも遠慮ってもんがないのかい?今度こそただじゃ置かないよっ!」

祝融は背中に背負っていた武器を構えた。

「やる気か?かあちゃんっ!」

猛獲も食べ物をさて置いて、立ち上がり身構える。

二人とも最近面白いことが起きてないため、体がなまっているよう。

ドゴ〜ン

猛獲は有無をいわさず、祝融に向かって武器を発射させた。

その姿は某ロボットアニメのそれと思わせる程の飛び方で威力もある。

祝融はハンッと一喝すると飛刀で、それを受け流した。

軌道が変わったその猛獲の攻撃は祝融の後ろ・・・壁をぶち破り、

運悪くそこにいた南蛮兵を巻き込み、爆発した。

「も・・・猛獲さま〜!!」

巻き添えを食らった南蛮兵は一人残らず、その場からいずこへ飛んでいった。

「あんたの攻撃なんて見切ってるよ。食べ物の恨みをわからせてやるよっ!」

「いくぜぇ〜かあちゃんっ!」

ドゴーン

ズズズズ・・・・ンン・・・

「あ〜あ・・・また二人で暴れてやんすね〜」

「最近、平和でやんすから〜」

数キロ離れたところでも聞こえる地響きと土煙。

毎日の日課のようになってしまった猛獲と祝融のケンカ?に南蛮の兵は落ち着きながら

言葉を交わした。

「確か、昨日はトイレが長いとかで暴れて・・・」

「おとといは・・・暇だとかで暴れたんだっけ?」

そういいあう南蛮兵は次第に情けなくなってきたが、後片付けを思うとため息がでてきた。


「あ〜あ、スッキリしたな。めしの続きだ。かあちゃん」

「ふぅ〜そうだね。体動かしたらお腹すいちまったね☆」

二人は何事もなかったかのように再び、ご飯を用意させて仲良く食べ始めた。

二人が寝静まったあと、

大勢の南蛮兵が二人の壊した建物を一夜で直したのはいうまでもない・・・。

彼ら、南蛮兵の試練はつづく・・・。



終わる